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第24回疏開リトリート報告

第二十四回疏開リトリートが十月十一日金曜日夕方から十三日日曜日午前中まで執り行われました。今回のテーマは「三宝(仏法僧)のご恩」でした。各々がテーマに沿って心を練った宿題を持ち寄り当日の開講式に集いました。司会のサムケリー氏は、仏法聴聞の最高の機会に感謝して最大限に時間を活用しましょうと呼びかけられ、皆の背筋が伸びるようなスタートを頂きました。誓いの言葉は、亡き博子様の御心をしかと受け止め十二月に聴聞の決定をされている鈴木佳さんでした。佳さんは「親友のご縁で三輪精舎に出会ってからの五年間は宝物。今まで出会ってきた方々の慈愛により今日の我が身があります。博子様に阿弥陀様の光にあう道筋を示して頂きました。一生涯、一歩一歩仏法聴聞に精進します」と誓われました。

顕明師は開講のご挨拶で、新参加者三名、日本から参加の原理恵さんを含む全参加者を歓迎されました。そして、「三宝を認識して感謝するだけで留まってはいけません、聖徳太子の言われた帰依三宝の「帰依」、僧伽の支えに気付き内面に帰って仏さまに帰依することが大切です」とお話し下さいました。

初日の夜と翌朝の座談会では、各自が持ち寄った「三宝のご恩」をテーマにした宿題を発表し共有しました。最年少のプヌワニ理那は夏の聴聞を振り返り、涙ながらに「仏さまは欲ばかりの自分を一切受け入れて下さいました。周囲の人も仏さまのようで、毎日私を導いて、私が何者かを教えて下さっている。お相手をして下さった佐奈江さんと量子さんが何時間も私を信じて聴いて下さったことが私にとっての僧伽の象徴です」と。日本から参加して下さった原理恵さんは御自身の幼少からの歩みをさらけ出され、辛い体験を賜りものと頂かれるご心中をお聴かせ下さいました。二十年前に三輪精舎で顕明師、博子さんと出会い直しをされたことが切掛けで、今の自分の信境を賜ることになりましたと、感謝に満ちたお礼を述べられました。初参加のレナータさんは大変緊張されながらも博子さん宛に書いた手紙を拝読され、博子さんを精神的な母と偲ばれる思いをお聞かせくださいました。それは私達皆に共通する思いであり、博子さんからのお呼びかけに応えて前に踏み出されたお姿でした。他の参加者も異口同音に、仏縁を頂いた喜び、仏法に導いて頂いて実生活においても助けられている事実、僧伽の温かさ、慈愛、支援なくしては現在の自分に至ることはなかったと「三宝のご恩」への感謝を述べられていました。

二日目午前中には、鈴木大拙師の書かれた英語の『無量光』と題した論文を顕明師の解説を受けながら輪読し、活発な質疑応答の座を持たせて頂きました。そのご著書の中の「極めて攻撃的な思い上がっている力である自力は、極度に力を尽くしきって自らの敗北を認めるまでは、自己の無力を信じられないでしょう」「自力は人間特有の自惚れと根深い迷妄に酔って、戸惑い、たじろぎ、踏み外す」というお言葉が私の姿と重なり「自力が遂にその完全な敗北を認めるようになるのは、私達の相対的意識の中の本願力の働きである」ということが特に心に残りました。

昼食後は、今月多屋入りする方をお迎えするために家具の移動等の作業が一斉に行われ、その後休憩をとってお取越しに向けて建心師より声明集礼をして頂きました。その中で、お勤めは感謝の心をもってする事が大切である事を教えていただき、親鸞聖人の報恩謝徳のお心に会わせて頂くために、顕明師の正信偈の英訳をアンドリュー・ウェブ氏が拝読され、その内容と音韻の美しさに多くの方が感動されました。

翌日の閉講式では、午後からの御取越でご講話をされる下田教授をお迎えして、それぞれが疏開リトリートのお礼を発表しました。初参加のアミット・カラン氏は、「色々思考し頭で理解しようとする性格の自分であるが、このリトリートを通して学んだことは、そうではなく信じてお任せする大切さでした」と。また多くのお同行は「この貴重な宝物を大切にして、とにかく継続して僧伽に足を運ばせて頂き、一心に聞き通していきたい」と誓いを新たにされました。私はその会でお詫びを申し上げました。それは私が発表した宿題の内容を聞かれた英国人同行が、仏縁を繋いでくださった親族の上に胡座をかいている私の相をご指摘して下さり、そこに居座る私の自惚れた姿を教えて頂きました。今なおご恩を賜り続けている自分を忘れ置き去りにした恥ずかしい姿でした。この事を教えて頂くために今回リトリートに参加させて頂いたと御礼を申しました。また、その朝拝読された御文には、雑行を理由にそれを先にして仏様に心を向けることを後回しにする事を戒められていました。夕飯の準備を理由に声明習礼に出なかった私の姿が重なり求道の真剣さが欠けていたことに気づかせて頂きお詫びを申しました。これまでは業のままに落ち込んでしまう私でしたが、僧伽の皆様一人一人に私の姿を教えて頂き、そこから静かで安らかな明るい歩みをさせて頂ける心境を賜り、懺悔と感謝のお念仏に包んで頂きました。

合掌

プヌワニ香織