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第148回ロンドン会座 三輪精舎落慶25周年並びに釋妙種善尼(故佐藤博子様)一周忌

十二月八日(日)、第一四八回ロンドン会座にて、三輪精舎落慶二十五周年法要ならびに釋妙種善尼さま・故佐藤博子さんの一周忌を無事にお勤めさせて頂きました。

勤行では、廊下まで溢れた六十人を超える参詣者の方々全員がお焼香をされ、「御文」は博子さんがいつも喜ばれていた五帖目第十二通の「御袖すがり」を、日英両語で拝読させて頂きました。

この度、法話を仰つかり、三輪精舎の歴史の起点を、先ず辿らせて頂きました。戸田健二総代とUCLの先生方との精神的出会い。ホワイト先生とご院家さまご夫妻、日本のお同行の方々との出会いから一九九三年九月のUCL雅楽公演につながったこと。

そして六ヵ月間の予定で英語の勉強にこられた顕明師と、顕明師に続いて留学された慶明師の渡英をきっかけに、ロンドン会座が始められたこと。

戸田総代の東京転勤を経てカーベリーアベニュー五十五番地が購入され、日英両国の人々の精神的出会いを淵源にして、自然に正行寺のロンドン道場が誕生したこと等々を、お話しさせて頂きました。

続いて、その三輪精舎建立から始まった多くの法動の中では、先ずホワイト先生にご苦労頂いた石庭建立と、ウィリアムソン先生ご夫妻の顕彰を。日英の和解活動からは、日英両退役軍人の心の中で五十年以上解決しなかった憎しみの塊が溶け始めた、柳悟氏とモーリス・フランセス氏の出会いについて。最後に博子さんのご往生と顕明師の旭日双光章受賞に特に焦点を当てて振り返らせて頂きました。

膨大なエピソードと、一つ一つの歴史の根底にある出会いの真実を再確認するにつれ、法話を準備させて頂いた私の中に大きな気づきを賜りました。

その一つは、今回、皆さんにご披露した昔の写真の中に、博子さんが映ったものがほとんどなかったことを通しての気づきでした。

顕明師の叙勲は、ご院家さまの大きな願いのもとで、顕明師とホワイト先生が二人三脚で成し遂げられた功績が文字通り日本政府から認められたものだと思います。そして、その背後に、蔭で三人四脚でご苦労された博子さんが居られたことを今まで頭では分かっていましたが、今回は、その存在の大きさを身体そのもので感じさせて頂きました。博子さんの蔭のご苦労を実感したときに、二〇一三年のウィリアムソン先生ご夫妻顕彰碑建立の際、ホワイト先生が誰よりもエマ夫人のご恩を強調しておられたことを思い出しました。

そして、初めて「あぁ、そうであったか」と、ホワイト先生のお心が、まさに先生ご自身をずっと支えてこられたクセニア夫人への感恩の思いから来ていたのだと気づかせて頂きました。

次に、ハッとさせられたことは、二十五年を振り返って改めて読ませて頂いた、ホワイト先生の次の詩を通してです。

ききいれば

かたりくるこゑ

しじまより

ご存知のように、これはウィリアムソン先生ご夫妻顕彰碑に書かれているものです。

これまでは、ブルックウッドのあの静寂さの中で耳をすませば、学生を思って止まないウィリアムソン先生ご夫妻のお慈悲の声、またはお二人にお礼を述べられる留学生の報謝の声が聞こえてくる。そのように領解しておりました。

しかし、活発であった精舎の二十五年の歴史とは裏腹に、そこに横たわる静寂な出会いの真実を再確認させて頂いたときに、ホワイト先生が読まれこの詩は、精神的な静寂さと精神的な聴く姿勢を詠って下さっていたのだと気づかされました。

心を静かにして、同時に耳と心を傾ければ、そこに私に語りかけて下さるみ声がある。そう詠ませて頂いたときに、顕明師、ホワイト先生、博子さんがして下さった一つ一つことが、ただ私一人のためであったと頷け、本当に懺悔と感謝のお念佛にならせて頂きました。

その思いにならせて頂き、三輪精舎落慶二十五周年以降をどうやって歩んでいくかがはっきりいたしました。

これから何をしていくかが問題ではなく、人との出遇いのなかで自然に生まれてくる一つ一つのことに、どのような心で携わらせて頂くのか、ただそれだけであることを教えて下さったのは、今回振り返らせて頂いた三輪精舎の歴史に関わってこられた方々お一人お一人のお相でした。

そんな気づきを賜った私のトークを誰よりも喜んで下さったのは、ホワイト先生、顕明師、モントゴメリーさんという、紛れもなく三輪精舎建立の礎となられた方々でした。

一九九五年一月、ご院家さまの大願心を感じられて渡英された博子さんは、顕明師とホワイト先生に多屋の内方として二十四年間お仕えになり、英国僧伽を陰で支えられました。昨年の冬扇法師三百忌、恵契法尼十七回忌、帰命圓堂落慶大法要参詣から帰英してきた英国同行に対しては、病床にありながら「またお浄土で会いましょうね」と、自身の往生も、彼らの往生に対しても全く疑心の無いお念佛そのままのお相で、一時のお別れを告げられました。博子さんから言葉をかけられたクリスさんは、「浄土に生まれたいと初めて心の底から思わせて頂いた…」と、三輪精舎の母によって自身の極楽往生の願いが定まった心中を吐露しました。

二〇一八年十二月八日ご往生の最後まで、文字通り三輪精舎と英国同行のために人生を捧げられた佐藤博子さん。私が法話に立つ度に「建心さん、ありがとう。よかったね」といつも私の心に寄り添って言葉をかけて下さっていたその博子さんのみ声を、一年振りに聞かせて頂いた昨日のロンドン会座でありました。

まだまだ見えていないことばかり、感じ切れていないことばかりですが、「尋源酌流」の一語を大切に、これからも一歩一歩気をつけて、顕明師、ホワイト先生にお仕えさせて頂きます。簡単ではありますが、精舎の歴史の一つの節目をお迎えして賜った喜びを、一言お礼申し上げます。有難うございました。  合掌 建心拝