第143回ロンドン会座報告お礼
二月二十四日、三輪精舎にて第一四三回ロンドン会座が開かれました。顕明先生ご夫妻を欠いての初めての会座でしたが、建心師ご夫妻を中心に、お同行お一人お一人がお心を運んで下さったおかげで万事滞りなく進行しました。
建心師は「お同行を通して顕現される阿弥陀仏のお用き」と題したご法話の中で、ご院家様の「如来常住」という大切なみ教えを先ず紹介されました。また、かつてあるお同行が「仏教を背景にもたない私達は、いつ、どのように阿弥陀佛のお用きを感じることができますか」と問われた時、顕明先生が、「あなた自身がWonderfulと感じる時は、常に阿弥陀佛のお用きによって抱き取られている時なのです」と即答されたことを紹介されました。建心師にとってお同行を通して顕現する阿弥陀佛の連続無窮のお用きを実感する瞬間は、他との出会いによって自己中心の目線に劇的な変化を与えられる時(ハッと感じた時)であると前置きされ、昨秋の大法要参詣、そして博子さんのご往生を通して建心師ご自身がwonderfulと感じた、お同行のお言葉とお姿をお話されました。
最初に紹介されたのは、クリスさんの以下のお言葉でした。
「私が盲目であるが故に、私を抱き取ってくださっている阿弥陀佛のお慈悲が見えていませんでしたが、博子さんのことを思いますと博子さんを通してそのお慈悲が容易く見えるのです。私達が正行寺を訪問した際、ご院家様は『仏教は人を通してのみ伝えられていくものです』とお話し下さいましたが、正直な所、その時の私は、本当はわかっていませんでした。しかし、今、博子さんを通して私はそれを理解したように思います。博子さんは誰よりも私に佛教を教えてくださいました。そして、その優しさを通して、私は終に博子さんのご恩に対して感謝のお念仏を称える事ができ始めました。私が病院でお会いした時、博子さんはお浄土でまた会いましょうとおっしゃいました。博子さんを信じています。今、私はお浄土に生まれたいという本当に強い動機を賜りました。
建心師は、「博子さんの感謝のお言葉は、私達の愛別離苦の苦しみを感謝へと変えて下さった。そしてその心の翻りから全てが明らかになっていったクリスさんの気づきの連続こそが、佛様のお用きの証であると思う」と随喜讃嘆。
次に、ウェブ真子がある会合で述べた感慨を次のように紹介されました。「博子さんが英国の地でお眠りになられたことは国際結婚してこの地で生死の問題に向き合っていく私にとって、道筋を示して頂きブルックウッドで私を迎えてくださる事に大安心を頂きました」
続いて、鈴木佳さんのお礼状の一部を紹介されました。
「博子さんはいつも笑顔と温かさを以って私を迎えて下さいました。多くのことを教えて頂いた中、特に、苦しい時こそ自分を見つめることの大切さを教えられました。私は徐々に自分がいかに愚かであったかに気づき始め、私の存在そのものを受け入れてくださった博子さんは智慧とお慈悲の菩薩様のようでした。これからも、博子さんは私の中に生き続けられ、私は博子さんから学び続けます。」
建心師は、佳さんが博子さんとの出会いの中で阿弥陀佛の智慧とお慈悲に照らされ、愚者の自覚に立たれた事を讃嘆され、その愚かであるという気付きこそ、阿弥陀佛からの妙なる賜り物(信心)であり、決して自分の所有するものではありませんとお話されました。
また、クリストファー・ダックスベリー氏は正行寺を初めて訪れて、法要に遇い、大勢のお同行とお念仏を称えた感動をお御堂にて御礼申されましたが、その感動によって、建心師自身が念佛を称えることさえも当たり前のことと思っていた自分の姿に気付かされたと述べられました。そして、日本で幸せを感じる中でサンガの重要性を感じたが、ロンドンに戻ってきてこのような悲しみの時でさえも、更に強くサンガの重要性を感じましたと言われたクリストファー氏の気づきを讃嘆されました。
最後に以下のようにご法話を終えられました
「博子さんの御往生を通して私達が感じたことは、正に三宝からの賜り物です。お同行のそれぞれの目線の変化の中に、ここロンドンで阿弥陀佛のお用きを拝みました。私達は、自分ひとりでは決して正しく物を見ることは出来ませんが、周りの人々の声に耳を傾ける時、そこには素晴らしい感謝の言葉が溢れています。そして、それら感謝の言葉が、私達の心を転換させてくれます。貪瞋痴の自己中心の見方を離れ、感謝の目線を教えて頂く時、その喜びが私達の心の眼を開いてくださいます。心の眼を開いて下さるお同行の感謝のお言葉は、もはや私にとっては佛様の智慧の言葉でしかありません。不可思議にもすべてのことが賜りものであったという感謝の一念を賜る時、自己中心的な考えを更に超えた所で、「How wonderful」と阿弥陀佛のお用きに御礼を申さざるを得ないでしょう。博子さん、私達一人ひとりのために、今も尚用き続けて下さって有難うございます。」
参詣者御礼はお二人に割愛させていただきます。
サム・ケリー氏 ご法話を聞いて日常生活で隣家とのトラブルを顕明先生に相談した際、「阿弥陀佛はもう対処されているよ」と言って頂いたことがあったが、自分の煩悩からその助言を心から受け入れられず疑っていた自分が思い起こされた。利己的で阿弥陀佛のお用きも疑っていく自分の姿に気付かされた。また、博子さんのご往生に際し、悲しみの中でも不思議と表現し難い喜びを感じていた。それは、お浄土で会いましょうと言われた博子さんのお喜びを感じたからだと思う。毎日、お仏壇の前で博子さんに挨拶をしている。博子さんにお浄土で再会できることを喜びと感じました。
クリス・ドット氏 今、身辺に多くのことが起こり難しい時です。(お母様がご危篤で病院に入院されている)そんな今、博子さんの往生に際しかけつけられた坊守様が私達に、「人生で困難に出くわした時こそ、博子さんはどうされるだろうと考えて行動することが大事ですよ」と言って下さったお言葉を思い出しています。
司会の、アンドリュー・ウェブ氏より、顕明先生の英訳御文、ジョン・ホワイト教授と顕明師の共同ご著書である松尾芭蕉英訳俳句が出版されたことの紹介のあと、スプリングスクール準備のため三日前に安着された高田恭太さんから自己紹介。
自身だけでなく家族の紹介も交えながら堂々と落ち着いて挨拶し、スプリングスクールに精一杯取り組みたいと決意を述べると、参詣のみなさんから拍手喝采を受けました。
記録者御礼
建心師のご法話は、今、この一瞬一瞬の佛様のお用きを感じていきなさいと私一人へのお呼びかけのように思われ感動を持って聞かせて頂きました。博子さんがご往生されて、今まで甘えてばかりで責任を持っていくことのなかった私自身を思い知らされました。三輪精舎で母同然だった、目に見えるお姿としての博子さんを失ったことを実感することも多々ありますが、実際には、目の前で、顕明先生、建心師、早苗さんが一心になって歩みだされ、博子さんのご往生を通して更に研鑽されている様子を間近に拝ませて頂く事でどれほど私自身が力を頂戴しているかということを思います。三輪精舎を拠り所に集まられているお同行お一人ひとりに我が姿を照らして頂きながら、盲目で感謝の心も持ち合わせない自分をこうしてサンガに受け入れて頂いていることに心より御礼申し上げます。気をつけて聞かせて頂きたく思います。 合掌
真子 拝